MICS NEWS Vol.12 Number 6
          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”E−070.沖縄美ら海水族館は、深海にすむ「光るサメ」として知られる全長20センチ余りのフトシミフジクジラが発光する様子の撮影に成功した。このサメはほぼ全身が光るが、特に腹側が強く光ることが確認された。腹側を光らせることで、海中に太陽の光が差し込んでできる自らのシルエットを打ち消すことができる。
         【朝日新聞 2011. 8.16夕刊  8面】“


”E−090.ベルギーのリエージュ大学は、太古の木が高所に水を引き上げるための「配管システム」として進化したことを解明した。フランスとカナダで見つかった約4億年前のデボン紀初期の2種類の小さな植物の化石を観察したところ、細胞の表層部の壁が厚く発達していた。
           【日経産業新聞 2011. 8.22朝刊 11面】“


”E−092.東京大学は、農作物に感染してさまざまな病気を引き起こす病原細菌「ファイトプラズマ」が宿主に応じて適応する仕組みを解明した。ファイトプラズマは植物と昆虫という2種類の宿主を交互に切り替え感染を広げる。寄生する宿主によって、異なるたんぱく質や酵素などを使い分けることを明らかにした。
         【日刊工業新聞 2011. 8.23朝刊 27面】“


”E−095.黒潮生物研究所は、高知県土佐清水市沖に生息する世界最北限のシコロサンゴ群落の産卵の撮影に成功した。月の満ち欠けに影響されるとされるシコロサンゴの産卵は確認が困難。産卵、繁殖のメカニズムの解明はサンゴ再生の鍵となる。
        【東京新聞 2011. 8.24朝刊 27面】“


”F−014.名古屋大学は、土中に生息する線虫が温度を感じるとき、女性ホルモンの「エストロゲン」が関与していることを突き止めた。人間の体内でも同様のメカニズムが働いているとみられ、人間の温度感知や記憶の仕組みの解明に役立つ可能性がある。
  【日経産業新聞 2011. 8.12朝刊  9面】“


”F−015.フランスのモンペリエ分子遺伝学研究所は、飢餓や寒さのようなストレスへの適応に、「E2F1」と呼ばれるたんぱく質が重要な役割を果たしていることをマウスの実験で突き止めた。E2F1は細胞周期の進行に関わることで知られているが、代謝調節にも関わっていることを示唆している。
           【日経産業新聞 2011. 8.23朝刊 10面】“


”F−021.京都大学は、体内で酸素濃度を検知するセンサーの役割を果たすたんぱく質を特定した。気管や肺にある神経細胞などにあり、酸素濃度が高かったり低かったりすると活性化する。酸素濃度に合わせて呼吸を調節する体内の調節メカニズムの解明などに役立つ成果。
           【日経産業新聞 2011. 8.29朝刊 11面】“


”F−023.理化学研究所、岡山県農林水産総合センター生物科学研究所、農研機構野菜茶業研究所は、国際ハクサイゲノム解読プロジェクトと連携し、アブラナ科作物のゲノム解析に成功した。約4万個の遺伝子を同定した。また日本で収集した約1万個のハクサイの完全長cDNA配列情報を基に、有用たんぱく質の産生遺伝子が見つかった。
           【化学工業日報 2011. 8.30朝刊  9面】
             【山陽新聞 2011. 8.30朝刊 28面】“


”F−031.森林総合研究所は、英ウエルカムトラスト・サンガー研究所、英ジェームズ・ハットン研究所、英ベルファスト大学と共同で、松枯れ病を引き起こすマツノザイセンチュウのゲノムを解読した。ゲノムの解読により、18000個の遺伝子を検出し、マツノザイセンチュウのゲノムが他の植物寄生性の線虫のゲノムと多くの点で異なることを明らかにした。
           【化学工業日報 2011. 9. 6朝刊  3面】 


”F−035.米国国立衛生研究所(NIH)と英オックスフォード大学は共同で、マウスの大脳皮質で働いている遺伝子発現マップの作成に成功した。マウスとヒトのゲノム配列は90%が同じなため、マウスのこのマップをモデルに、ヒトの神経変性疾患など脳の疾患の新たな治療法開発に役立つとみられる。
           【化学工業日報 2011. 9. 5朝刊  9面】“


”F−045.東京大学は、生物の細胞のように、増殖しながら遺伝子を複製する現象を部分的に再現した「人工細胞」を、化学物質を使って作ることに成功した。単細胞生物の大腸菌の増殖と似ており、生物の起源を明らかにする手掛かりとなる成果。
       【毎日新聞 2011. 9. 5朝刊  4面】 
            【朝日新聞 2011. 9. 5朝刊  3面】“


”F−051.九州大学は、生体内の鉄の量を調整する新たなたんぱく質の働きを解明した。鉄は貧血予防に重要なミネラルだが、過剰になると細胞を傷つける毒性を持つことが知られている。鉄過剰症の治療などに応用できる。
           【日経産業新聞 2011. 9. 7朝刊  7面】“


”F−056.酒類総合研究所や大手酒類メーカーなどが参画する清酒酵母ゲノム解析コンソーシアムと製品評価技術基盤機構(NITE)は、醸造用に広く使われる優良酵母「きょうかい7号」のゲノムを解析し、ゲノム全体の5%が実験室酵母と異なることを明らかにした。酒類の品質向上や多様化などに役立つ酵母株の育成につながることが予想される。 
          【化学工業日報 2011. 9.12朝刊  9面】“


”F−060.筑波大学と帝京大学は、植物の傷ついた茎の修復に必要な遺伝子を発見した。今後、遺伝子が発現してから組織が再生するまでの仕組みを解明し、接ぎ木しにくい植物種や異種間で接ぎ木しやすくするといった効果を探る。 
          【日本農業新聞 2011. 9.13朝刊 16面】 
            【茨城新聞 2011. 9.13朝刊 25面】“


”F−070.奈良先端科学技術大学院大学は、遺伝子の働きを制御するDNA(デオキシリボ核酸)の「メチル化」の有無にかかわるたんぱく質を植物で特定した。制御の仕組みを詳細に解明して自在に制御できれば、植物の種子の大きさや病気への抵抗性を高めるのに役立つ可能性がある。 
          【日経産業新聞 2011. 9.13朝刊 10面】
           【日刊工業新聞 2011. 9.13朝刊 27面】“


”F−075.東京大学大学院と(株)ヤクルト本社、理化学研究所、麻布大学、国立遺伝学研究所は、免疫細胞を誘導する腸内細菌の一種セグメント細菌(SFB)の全ゲノム構造の解明に成功した。感染症の防御や漬瘍性大腸炎など自己免疫疾患発症にかかわるSFBの作用メカニズムを遺伝子レベルで調べることが可能になる。
         【化学工業日報 2011. 9.15朝刊  9面】 
          【日経産業新聞 2011. 9.16朝刊 10面】“


”F−076.北海道大学大学院は、外来遺伝子を導入することなく、エピジェネティック(遺伝子などが修飾により後天的に活性化または不活性化する現象)な変化を誘導させて、形質転換させた植物の作出に成功するとともに、遺伝子の発現状態を改変させる機構を解明した。次世代の植物形質転換法として有望な革新的技術がみつけ出された。
           【化学工業日報 2011. 9.16朝刊  9面】“


”F−079.中国やペルー、オランダなどの国際コンソーシアムは、ジャガイモの遺伝情報(ゲノム)を解読した。明らかになったのは、8億4400万塩基とされるゲノムの86%の部分で、たんぱく質をつくる約3万9000個の遺伝子が見つかった。品種改良などへの応用が期待される。
             【朝日新聞 2011. 9.19朝刊 34面】“


”F−081.東京大学は、精子や卵子の遺伝子が傷つくのを防ぐ特殊なRNA(リボ核酸)ができる仕組みを解明した。このRNAが作られる過程を試験管内で再現した。生物の精子や卵子が正確な遺伝情報を子孫に伝える仕組みの解明につながる。
   【日経産業新聞 2011. 9.20朝刊  9面】





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