MICS NEWS Vol.13 Number 1
          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”L−070.国際農林水産業研究センター(JIRCAS)は、国営マレーシア森林研究所と共同で、熱帯雨林の健全な世代交代のための種子生産の条件を遺伝子レベルで解明した。花粉の散布距離、幹の直径、花粉生産量など特性を明らかにした。解析結果から得た情報をもとに、新たな伐採指針を提案している。
           【化学工業日報 2012. 3.26朝刊  2面】


”L−086.佐賀大学と北海道大学低温科学研究所は、自然免疫を活性化させるサイトカインをモデル生物ショウジョウバエから発見することに成功した。モデルのハエに温度ストレスを加え測定したところ、確認できた。生物の免疫活性調節機構と環境適応力を解き明かすうえで、発展につながる成果となる。
           【化学工業日報 2012. 3.21朝刊  8面】“


”L−090.農研機構畜産草地研究所は、ミツバチの幼虫に感染して死なせる病原細菌であるアメリカ腐そ病菌の防除が可能な抗菌活性物質を、ニホンミツバチの腸内細菌から得ることに成功した。従来の抗生物質を使う方法は残留や耐性菌の出現などの危険性があったが、これを用いれば安全なミツバチ作りが可能になると期待される。
     【科学新聞 2012. 3.23    8面】“


”L−094.九州大学は、匂いの濃度によって好き嫌いが変わる仕組みを解明した。線虫を使った実験で、匂い物質が低濃度だと反応する感覚神経と、高濃度だと反応する感覚神経が、別々に存在することが分かった。人間で類似する感覚神経が見つかれば、食品や香料の開発に生かせるとみている。
           【日経産業新聞 2012. 3.27朝刊  9面】“


”A−007.東京大学と玉川大学は、共同で、ニホンミツバチが独特の攻撃行動を取る際に、脳内の高次中枢と呼ばれる部位で神経細胞が興奮状態になることを解明した。攻撃行動を取り始めてから30分後と1時間後の働き蜂の脳の高次中枢と呼ばれる部位を調べた結果、神経が興奮すると発現する特定の遺伝子が、一部の細胞で多数検出された。
           【日経産業新聞 2012. 3.29朝刊 11面】“


”A−023.奈良先端科学技術大学院大学は、植物の背丈を決めるたんぱく質を見つけた。このたんぱく質のない植物を遺伝子操作で作ったところ、通常よりも背丈が半分ほどになることを確かめた。たんぱく質の働きを抑える薬剤を植物に投与すれば、倒れにくく大量栽培しやすい背丈の植物を作り出せる。今後、企業と組んで実用化を目指す。
           【日経産業新聞 2012. 4. 3朝刊 10面】
             【奈良新聞 2012. 4. 3朝刊 11面】“


”A−026.理化学研究所は、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、東京大学などと共同で、モデル植物シロイヌナズナから生命活動に必要な生理活性物質ポリアミンの輸送体を発見した。遺伝子操作実験などを行い、「RMV1」たんぱく質がポリアミン輸送体であることを突き止めた。
           【化学工業日報 2012. 4. 5朝刊  9面】“


”A−036.慶應義塾大学は、カラスは鳴き声と姿で仲間を認識しているとの研究結果をまとめた。カラス社会はとりあえず集まっている『烏合の衆』ではない。日常生活で仲間の声と姿を結びつけ学習している。カラスが他者の概念を持つことが分かったのは初めて。 
            【産経新聞 2012. 4. 7朝刊 25面】
             【茨城新聞 2012. 4. 7朝刊 22面】“


”A−042.京都大学は、フリーズドライ(真空凍結乾燥)したラットやマウスの精子からその子どもを作ることに成功した。精子の長期的な保存を比較的手軽に、低コストで可能にする。ラットで5年間、マウスで3年間、冷蔵庫に保存した後、解凍した上で顕微受精で卵子と受精させたところ、通常と同じように受精し子どもができた。
  【日刊工業新聞 2012. 4.11朝刊 21面】“


”A−044.石川県立大学は、コケの一種「ゼニゴケ」から高血圧予防などの効果がある医薬品原料を量産できることを確認した。従来の生産方法に比べ低コストな上、二酸化炭素吸収にもつながる。この医薬品原料は「プロスタグランジン」。植物からプロスタグランジンを生産したのは世界で初めて。
             【北国新聞 2012. 4.10朝刊 34面】“


”A−046.東京大学は、アミノ酸の1種セリンを合成する新しい酵素を、微生物の独立栄養性水素細菌から発見した。生命にとって必須のセリン生合成の多様な経路の解明に向けた方向性が示されたことに合わせ、同細菌を用いた有用物質生産システムへの産業応用にも大きな前進材料になりそうだ。
           【化学工業日報 2012. 4.11朝刊  9面】“


”A−047.名古屋大学は、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロジェンが、脳内の生殖中枢であるキスペプチンニューロンと呼ばれる細胞に働き、キスペプチン遺伝子を発現させて排卵を促す仕組みを分子レベルで突き止めた。哺乳類の生殖制御メカニズムの根幹部分の解明につながる成果。
           【化学工業日報 2012. 4.11朝刊  9面】“


”A−057.京都大学は、暗闇で世代交代させながら57年も飼育を続けたショウジョウバエ(暗黒バエ)のゲノム(全遺伝情報)を解読することに成功した。昼行性の通常環境で育つハエと比べると、解毒能力に関する遺伝子などが変異していた。通常のハエと形態的には大きな違いはないが、遺伝子レベルでは暗闇に適応するよう進化している可能性がある。
         【読売新聞(大阪) 2012. 4.16朝刊 14面】






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