MICS NEWS Vol.13 Number 2
          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”A−066.花王(株)は、ココヤシの油脂を作る仕組みの一端を解明した。洗浄用の界面活性剤などに適した中鎖脂肪酸の生合成解析を試みたところ、Acyl−ACPチオエステラーゼ(TE)と呼ばれる酵素が生成に強く関与していることを突き止めた。この酵素を指標にして育種研究を進めることによって、将来の非可食な油糧植物開発への応用を目指す。 
          【化学工業日報 2012. 4.20朝刊  1面】“


”A−068.理化学研究所は、狂牛病などの原因として知られるプリオンたんぱく質と類似性のある凝集体を作りやすいたんぱく質「Mod5」を見つけ、生物の生存や進化に有利に働くという新知見を得た。類似性を追求することでいまだ全容のわからない哺乳類のプリオン病などの感染・発症メカニズム解明につながる成果となる。
    【化学工業日報 2012. 4.20朝刊  9面】“


”A−078.米航空宇宙局(NASA)と東京大学、農業生物資源研究所などは、共同で、乾燥や高温、強い放射線などの極限環境に耐える微小な動物「クマムシ」が成体だけでなく卵も同じような耐性能力を持つことを突き止めた。クマムシは体長1ミリ以下の動物で、乾燥すると仮死状態になり、高温や極低温、真空などの過酷な環境に耐えて生き延びる。
             【産経新聞 2012. 4.23朝刊 15面】“


”A−079.産業技術総合研究所、農業環境技術研究所などは、害虫のホソヘリカメムシが、土壌中に生息している殺虫剤を分離する細菌を体内に取り込んで、殺虫剤に対する抵抗性を獲得していることを突き止めた。これまでは遺伝子に突然変異が起きて抵抗性を持つようになると考えられていた。従来の常識を覆す成果。
         【日本経済新聞 2012. 4.24朝刊 38面】 
          【日経産業新聞 2012. 4.24朝刊  9面】 
          【日本農業新聞 2012. 4.24朝刊 16面】  
         【化学工業日報 2012. 4.24朝刊  9面】 
            【茨城新聞 2012. 4.24朝刊 21面】“


”B−002.理化学研究所は、ある種のプリオンたんぱく質の凝集(集合)体が、細胞の成長を阻害する薬剤から守る働きを持つことを出芽酵母を使った実験で突き止めた。今回の研究により、病原因子という側面ばかりでなく、生物の生存や進化に有利な側面もあることが明らかとなった。
           【日刊工業新聞 2012. 4.23朝刊 14面】“


”B−006.岡山大学は、貯蔵食料につく害虫「タバコシバンムシ」が、特定の波長の「反射光」に強く反応し、集まることを突き止めた。虫は光に反応する性質があるが、反射光だけに反応することは新発見。試作中の捕虫器は、発光部にLEDを取り付け、その前に粘着シートを敷き、シートなどの反射光でおびき寄せる。
          【山陽新聞 2012. 4.25朝刊 30面】“


”B−018.中国の上海生命科学研究院は、クローン技術を応用して、染色体が通常の2組ではなく1組しかない胚性幹細胞(ES細胞)を作り、遺伝子操作しやすい「セミクローンマウス」を作製した。技術を向上させれば、受精卵のES細胞から作る現在の標準的な方法より、遺伝子操作マウスを効率よく生み出せると期待される。 
   【化学工業日報 2012. 5. 7朝刊  9面】“


”B−020.東京大学は、ウイルスが自らの繁栄のために昆虫を操っている実態を解明した。昆虫の遺伝子を操作して脳に入り込み、行動を巧みに制御。昆虫の幼虫を木の上に向かわせて、枝先で死ぬように仕向けていた。鳥が食べたり風雨で飛ばされたりして、子孫となるウイルスを飛び散りやすくするのが狙い。
           【日経産業新聞 2012. 4.27朝刊 10面】“


”B−037.情報通信研究機構は、有性生殖の細胞分裂過程で、染色体同士が対になって接着(対合)するメカニズムを明らかにした。対合が頻繁に起こる染色体上の部位を特定し、その部位に蓄積されたリボ核酸(RNA)が対合を促進することを突き止めた。
 【日刊工業新聞 2012. 5.11朝刊 22面】 
          【日経産業新聞 2012. 5.11朝刊 10面】“


”B−051.(株)ブリヂストンは、「ロシアタンポポ」と呼ばれる多年草から、タイヤの主原料となる天然ゴムを取り出すことに成功した。独自の精製技術を生かして、ロシアタンポポの根の部分から、天然ゴムの原料であるパラゴムノキと同等の強度がある天然ゴムを取り出した。天然ゴムの供給源の多様化を加速させていく構え。 
      【産経新聞 2012. 5.18朝刊 24面】 
    【フジサンケイビジネスアイ 2012. 5.18朝刊  8面】“


”B−055.名古屋大学は、植物では受精に1回失敗したとき、めしべに「受精回復システム」という機能があることを突き止めた。植物自体にバックアッププランを持って生き残り戦略を実行することがわかった。分子メカニズムの解明を進めることで、植物交配コントロール技術として応用でき、厳しい気象環境でも農産物種子の安定的な収穫につながる可能性がある。 
          【化学工業日報 2012. 5.18朝刊  5面】“






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