MICS NEWS Vol.13 Number 4
          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             


”C−055.東北大学は、突然変異が起きて遺伝子がコピーされ、重複部分が多いショウジョウバエほど様々な環境に適応する能力が高いことを発見した。ゲノム(全遺伝情報)がわかっている11種類を使い、遺伝子全体の中で重複している部分がどれだけあるか調べた結果、生息する地域が広い種類のハエほど、重複が多いことがわかった。
【日本経済新聞 2012. 6.19朝刊 12面】“

”C−056.中国の上海生命科学研究院は、クローン技術を応用して染色体が通常の2組ではなく1組しかない胚性幹細胞(ES細胞)を作り、遺伝子操作しやすい「セミクローンマウス」を生み出した。新方法は途中段階のES細胞の染色体が1組のため遺伝子を操作しやすく、最終的に遺伝子操作マウスが誕生する割合も高くなるメリットがある。
             【毎日新聞 2012. 6.19朝刊 15面】“

”C−065.琉球大学は、植物抽出液を用いた松枯れ病防除技術を開発した。植物抽出液を処理することで、松枯れ病の病害虫であるマツノザイセンチュウに対して、高い忌避性、運動阻害、殺線虫活性を示すと同時に、マツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリの幼虫および成虫に対して抗虫活性を示すことを明らかにした。
  【化学工業日報 2012. 6.21朝刊  4面】“

”C−066.和歌山県林業試験場は、紀州産ヒノキは6年間地中に埋まっていても、芳香や耐久性のもとになる精油(フィトンチッド)を抽出できることを確かめた。精油は揮発性物質で、香り成分のほか、殺ダニや殺蟻成分、抗菌成分など、さまざまな有効成分が含まれている。
             【紀伊民報 2012. 6.21朝刊 10面】“

”C−071.農研機構近畿中国四国農業研究センターと近畿と四国の各府県などでつくる研究グループは、飛ぶのが苦手なテントウムシを掛け合わせる方法で、飛ばないテントウムシを誕生させることに成功した。幼虫から出荷できるのでコストを抑えられ、飛ばない固体同士が交配すれば次世代も飛ばないのもメリット。
       【朝日新聞(大阪) 2012. 6.24朝刊 34面】“

”C−072.味の素(株)は、水産総合研究センター国際水産資源研究所と共同で、最新式の記録型電子標識(アーカイバルタグ)を用いて、南西諸島海域で初めて合計3カ月以上に及ぶカツオの遊泳行動の詳細な記録に成功した。カツオの資源量や生態の理解および国際的カツオ資源管理に資することが期待される。
           【日本食糧新聞 2012. 6.25朝刊  4面】 
    【フジサンケイビジネスアイ 2012. 6.25朝刊 11面】“

”C−075.熊本県立大学は、世界で初めてパルマ藻(そう)の培養に成功し、生物学上の分類を明らかにした。生物学的系統が「ボリド藻綱」に分類されることを突き止めた。海の光合成の4割を占め、食物連鎖で重要な役割をもつケイ藻の進化過程の解明にもつながる成果。 
          【熊本日日新聞 2012. 6.24朝刊  1面】“

”D−010.農業生物資源研究所は、昆虫が幼虫からサナギへと変身(変態)するのを抑制する遺伝子のスイッチの仕組みを世界で初めて解明した。変態を抑える幼若ホルモン(JH)が「Kr−h1」という遺伝子を活性化してオンにすると、同遺伝子の働きで変態が抑えられる仕組みだった。
           【化学工業日報 2012. 7. 3朝刊  5面】 
          【日刊工業新聞 2012. 7. 4朝刊 17面】 
          【日経産業新聞 2012. 7. 5朝刊 11面】 

”D−012.東京大学は、植物の種子の中で根や葉が成長する仕組みの一端を解明した。3種類の遺伝子の力関係で、葉が育ったり根が成長したりした。葉や根を作る遺伝子を制御することで、栄養価の高い品種への改良などにつながる可能性がある。
      【日経産業新聞 2012. 7. 2朝刊 11面】“

”D−014.静岡県立大学は、塩分濃度が高い土壌でも育つ植物をつくる技術を開発した。植物が葉や根などに成長する前の細胞の段階で、物質を取り込んだり排出したりするときに運び役となるたんぱく質の遺伝子を組み込み、塩分のある場所でも育つようにした。
            【日経産業新聞 2012. 7. 3朝刊 10面】“

”D−020.鳥取大学は、イネの稈を約20%短縮させる短稈遺伝子「d60」を新たに発見した。従来開発されている短稈品種は、すべて「sd1」遺伝子に依存しており、新しい短稈遺伝子が発見されたのは今回初めて。今回発見されたのは第3染色体中のd60遺伝子。d60は細胞壁の形成に関わると推定される。 
        【化学工業日報 2012. 7. 6朝刊  4面】“

”D−025.農業生物資源研究所は、筑波大学、名古屋大学と共同で、蛾や甲虫など幅広い昆虫の変身(変態)を操作することのできる酵素をカビから発見した。同酵素は、昆虫の成長に重要な脱皮の誘導に関与するホルモンを分解し、脱皮を阻害する。同酵素を薬剤に応用すれば、害虫に対する新殺虫剤開発などにつながる可能性がある。
 【化学工業日報 2012. 7.10朝刊  5面】 

”D−026.農業生物資源研究所、佐賀大学、米ロードアイランド大学は、殺虫性たんぱく質に抵抗性を示す昆虫遺伝子を発見した。カイコを用いて毒素抵抗性の原因遺伝子を突き止めるとともに、細胞膜で物質の輸送を担うたんぱく質(ABCトランスポーター)遺伝子の変異により、毒素に対する感受性が低下し、抵抗性を示すようになることがわかった。
           【化学工業日報 2012. 7.12朝刊  4面】 

”D−027.宇都宮大学は、種まきから数年かかる樹木の開花を1年に縮めるのに有望な技術を開発した。根を切ったうえに薬剤を散布し、成長が抑制されると花芽ができやすくなるという植物の性質をうまく引き出した。モモの木で試し、従来よりも花の芽が2倍以上多く付いた。
           【日経産業新聞 2012. 7.10朝刊  9面】“

”D−029.大阪大学は、微小なRNA(リボ核酸)の配列を解読できる技術を開発した。電極間に流れる電流の強さから、RNAを構成する4種類の塩基を読み取る。従来の装置はDNAを増幅処理する工程が必要だったが、新技術ではこれが不要になり、安価で高速に解読できる見込み。 
          【日経産業新聞 2012. 7.11朝刊  7面】“

”D−032.スペイン農業ゲノミクス研究センター、バルロセロナ大学、米ウイスコンシン大学などの欧米研究機関による解析コンソーシアムは、メロンのゲノムを解読した。病害に対する抵抗性への関与や香り、味の改良に役立つ遺伝子を今後発見するためのプラットホームが整った。
           【化学工業日報 2012. 7.12朝刊  5面】“

”D−034.フランス農業研究開発国際協力センターなどの国際研究チームは、食用に栽培されるバナナの原種のゲノム(全遺伝情報)を解読した。遺伝子の解析により、栽培品種の味をさらに良くしたり、病害虫に強くしたりする品種改良に役立つと期待される。
【日本農業新聞 2012. 7.12朝刊 13面】“

”D−047.東京大学生物工学研究センター、大阪市立大学、茨城大学、帝京大学は、共同で、イネの主要な抗菌性化合物サクラネチンの生合成を担うカギとなる酵素産生遺伝子「OsNOMT」を突き止めた。同化合物は、イネの代表的な病害であるいもち病菌に対する抗菌活性を保持する物質。遺伝子組み換え技術により、抗菌剤など産業利用への基盤になり得る。
           【化学工業日報 2012. 7.18朝刊  5面】“






もどる


(c)Copyright 2000 by Food Microscience Network
All rights reserved