MICS NEWS Vol.13 Number 6
          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             


”E−055.海洋研究開発機構は、世界最深約1万900メートルのマリアナ海溝などに生息するエビに似た生物「カイコウオオソコエビ」から、おがくずや紙などを分解して栄養分を作り出す消化酵素を発見した。廃棄物から燃料を効率的に作る技術の開発につながると期待される。この生物はヨコエビの一種で体長約4センチ。
      【日刊工業新聞 2012. 8.17朝刊 15面】“


”E−056.経済産業省は、2013年度から医薬品や食品、化学製品などの開発に有効な微生物の遺伝子情報の整備に乗り出す。微生物が持つ機能や安全性などを遺伝子レベルで解析してデータベース化し、企業や大学の研究機関に提供する。遺伝子レベルでの情報を、画期的な製品の開発や新産業の創出につなげたい考え。
      【フジサンケイビジネスアイ 2012. 8.20朝刊  4面】“


”E−066.徳島大学と広島大学は、人工酵素を使って遺伝子を壊す手法で、コオロギに人為的に突然変異を起こすことに成功した。害虫の防除のほか、遺伝性疾患の治療などへの応用も期待できる。コオロギやバッタは農作物を食べるため害虫として扱われるケースが多い。羽の発達を抑えるなどして活動範囲を狭めれば被害を軽減できる。 
          【朝日新聞 2012. 8.22朝刊  3面】 
        【朝日新聞(大阪) 2012. 8.22朝刊  3面】 
            【中国新聞 2012. 8.22朝刊 25面】“
”E−071.国際農林水産業研究センター(JIRCAS)は、国際稲研究所(IRRI)とミラノ国立大学と共同で、土壌中のリン酸を効率的に吸収する稲の遺伝子と、その機能を世界で初めて解明した。この遺伝子の働きで根の表面積が増え、リン酸が少ないため生産が制約されるアフリカなどで多収品種の栽培につながることが期待される。 
          【日本農業新聞 2012. 8.25朝刊  2面】 
          【化学工業日報 2012. 8.27朝刊  4面】  


”E−074.京都大学と甲南大学は、共同で、動物の受精卵から背と腹が形成されるとき、腹をちょうどよい大きさにするメカニズムをホヤの実験などで突き止めた。Admpタンパク質は腹を作る「アクセル」として働いているが、「ブレーキ」として働くPinheadタンパク質も同時に作っていた。 
            【京都新聞 2012. 8.24朝刊 27面】“


”E−076.海洋研究開発機構は、世界で最も深い海底に住むカイコウオオソコエビ(ヨコエビの一種)から新規酵素を発見した。この新規酵素は、木材や再生紙など様々なバイオマスから、1段階で室温でグルコースを生産できるという特徴を持つ。従来のバイオエタノール生産では、3種の酵素を使って、数段階に分けてセルロースを分解していた。 
            【科学新聞 2012. 8.24    4面】“


”F−001.農業生物資源研究所は、イネの3大病害であるいもち病、ゴマ葉枯れ病、紋枯れ病を引き起こす病原性カビが植物に感染する際、同一の多糖で菌体表面を覆い、植物の生体防御システムから菌体を守るという仕組みを明らかにした。多糖類酵素やその遺伝子などの利用により、従来の技術では困難なカビ病害に対する新たな防除技術の開発が可能になると期待される。
           【日本経済新聞 2012. 8.28朝刊 12面】 
          【日経産業新聞 2012. 8.28朝刊  9面】 
          【日本農業新聞 2012. 8.28朝刊 16面】 
          【化学工業日報 2012. 8.28朝刊  4面】  


”F−009.(株)免疫生物研究所は、(有)生物資源研究所と共同で、遺伝子組み換えカイコを用いたワクチンの開発に取り組むと発表した。生物資源研が開発した人工合成遺伝子を免疫生物研の遺伝子組み換え技術でカイコに導入し、カイコが作る繭からワクチン精製に必要なたんぱく質を取り出す。 
          【日刊工業新聞 2012. 8.30朝刊 14面】 
          【化学工業日報 2012. 8.30朝刊  9面】“


”F−021.森林総合研究所は、スギに花粉を作らせなくさせる遺伝子「ms1」の遺伝子地図(染色体のどこにあるのかを示すデータ)を作製し、地図上の位置の特定に成功した。同遺伝子の近くに存在する特徴的な配列を持つDNAマーカーも見つけ、これを利用することで無花粉スギをほぼ100%に近い精度で識別することができる。
           【化学工業日報 2012. 9. 4朝刊  4面】   


”F−033.農研機構作物研究所と農業生物資源研究所は、野生イネの染色体の断片を日本の栽培イネ品種に導入した系統群の開発に成功した。日本のイネ品種では失われた有益な遺伝子が含まれている可能性があり、ゲノム育種などによる新たな育種素材として活用できるようになる。 
          【化学工業日報 2012. 9.12朝刊  5面】  


”F−034.国際農林水産業研究センターは、東京大学、理化学研究所、産業技術総合研究所と共同で、乾燥した地域でイネの伸びが悪くなる仕組みを解明した。イネの伸長を促す遺伝子の働きが強く抑えられていた。この遺伝子の働きを強化すると、乾燥していない環境では背丈が通常の約2倍になった。干ばつでも作物が成長する技術の開発につながると見ている。
           【日経産業新聞 2012. 9.12朝刊  7面】  


”F−035.自然科学研究機構基礎生物学研究所は、植物の茎葉の起源に迫る遺伝子を発見した。これにより、植物がどのように陸上で進化してきたのかの研究が進展するものと期待される。コケ植物ヒメツリガネゴケを用い、茎葉を作るのに必須な遺伝子APBを発見した。  
           【科学新聞 2012. 9. 7    1面】“


”F−038.岡山大学資源植物科学研究所は、オオムギの成長や収穫量に影響する穂先の「芒(ぼう)と呼ばれる器官の長さを決める遺伝子の特定に成功した。特定した遺伝子を使って芒の長さを調整できれば、日本の風土に合った品種の開発も期待できる。 
    【愛媛新聞 2012. 9. 9朝刊  3面】“


”F−041.東京大学は、理化学研究所植物科学研究センター、国際農林水産業研究センターと共同で、植物のストレス応答を抑えて生育促進するたんぱく質を発見した。発見したのは「GRF7」と呼ばれる転写を抑制するたんぱく質。植物の生長コントロールに関わる形質付与の技術につながり、植物工場などに適した品種開発に有用な成果となりそうだ。 
          【化学工業日報 2012. 9.11朝刊  5面】“


”F−043.農業生物資源研究所と(財)かずさDNA研究所は、小豆の近縁種であるケツルアズキの豆が通常の2倍の重さになる変異は、特定の遺伝子が欠損して起きることを突き止めた。同じ遺伝子の欠損を人工的に大豆や小豆で起こすことで、大粒の品種を育成できるとみる。ケツルアズキはブラックマッペとも呼ばれ、モヤシの原料になる。
           【日本農業新聞 2012. 9.12朝刊 14面】“


”F−048.水産総合研究センターは、海中の酸素濃度が低く二枚貝を大量死させる「貧酸素水塊」が、有明海の奥部と長崎県の諫早湾で発生しているという調査結果を明らかにした。貧酸素水塊は、海中の酸素濃度(溶存酸素飽和度)が30%を下回る状態で夏に発生しやすい。調査では有明海奥部や諫早湾で30%を下回り、10%に満たないところもあった。 
           【西日本新聞 2012. 9.13朝刊 30面】 
            【長崎新聞 2012. 9.13朝刊  1面】“


”F−049.森林総合研究所は、全国で被害が拡大している松枯れを防ぐ新しい方法を開発した。病原体を媒介する昆虫は、松が振動していると寄りつかない性質を利用。低周波で弱い振動を与える装置を松に取り付けると、この昆虫は産卵しないことを確認した。成虫が生息する6〜8月頃に、松に振動を与えれば防除が期待できる。
  【読売新聞(大阪) 2012. 9.13夕刊 10面】“


”F−057.東京大学は、植物細胞の細胞壁の形状を決める4種類の遺伝子を突き止めた。4遺伝子を取り除いたり導入したりすることで、形状を人為的に改変できることもわかった。細胞壁には繊維の元になるセルロースが豊富に含まれており、セルロースの取り出しやすい形に細胞壁を制御できれば、バイオマス資源の効率的な生産技術の開発にも役立つ。
           【日刊工業新聞 2012. 9.14朝刊 20面】 
          【化学工業日報 2012. 9.14朝刊  5面】“


”F−059.理化学研究所と岡山大学は、共同で、植物の耐病性を向上させる「プラントアクティベーター」という薬剤を発見し、その作用メカニズムを解明した。併せて薬剤の探索法を開発した。プラントアクティベーターは植物が本来持っている免疫力を高めることで耐病性を向上させる薬剤。 
          【日刊工業新聞 2012. 9.18朝刊 16面】“

”F−069.理化学研究所植物科学研究センター、岡山大学、かずさDAN研究所は、共同で、植物の耐病性を向上させる新規化合物を5つ発見した。低分子有機化合物の中から効率良く探索する技術を開発し、これを用いた。発見したのはプラントアクティベーターのジャンルに入る化合物で、病害抵抗性をもたらす植物ホルモンの1つサリチル酸の代謝に作用する。 
          【化学工業日報 2012. 9.21朝刊  5面】“






もどる


(c)Copyright 2000 by Food Microscience Network
All rights reserved