MICS NEWS Vol.14 Number 4

          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”C−053.産業技術総合研究所と沖縄科学技術大学院大学は共同で、農業害虫のコナカイガラムシが複雑な共生関係を築いて生存していることを突き止めた。少なくとも8種類の細菌から獲得した遺伝子を活用していた。コナカイガラムシは体長数ミリメートルの楕円形。生物の細胞やゲノム(全遺伝情報)の進化を知る手掛かりとなる。 
 【日経産業新聞 2013. 6.24朝刊 13面】“


”C−054.大阪府立大学は、細菌の一種が色素を環状に並べ、光合成の効率を数十〜数百倍に引き上げていることを解明した。コンピューターを使った模擬実験で突き止めた。色素を使って発電する次世代タイプの「色素増感型太陽電池」にも応用できる可能性がある。細菌と同じように色素を環状に並べれば発電効率を大幅に引き上げられるかもしれない。 
          【日経産業新聞 2013. 6.24朝刊 13面】“


”C−056.自然科学研究機構基礎生物学研究所は、植物が光合成に必要以上の光エネルギーを消去するための「光合成たん白質超複合体」の発見に成功した。この成果をもとに消去の仕組みの完全な理解ができれば、効率よく光エネルギーを利用した藻類の開発、作物の新品種作出への応用につながる可能性がある。 
           【化学工業日報 2013. 6.24朝刊  5面】“


”C−057.森林総合研究所と立教大学は、世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)だけに生息する「ハシナガウグイス」は遺伝的に異なる2タイプに分かれるとの調査結果を発表した。各島でハシナガウグイスの血液などを採取し、DNAを分析した結果、母島や父島など多くの島と、両島から南に約300キロ離れた南硫黄島とでは、遺伝的に別の集団に進化していた。
             【読売新聞 2013. 6.25朝刊 37面】“


”D−003.理化学研究所は、モデル実験植物と作物遺伝子を横断的に検索できるデータベース(DB)を構築した。「SABRE2」と名付けたDBで、シロイヌナズナの遺伝子をもとに実験植物の情報を集めた従来のシステムに、新たにコムギやダイズなど農業上主要な6つの作物遺伝子を加え、150万を超える遺伝子クローン情報を1つにまとめることに成功した。 
          【化学工業日報 2013. 6.26朝刊  5面】“


”D−004.理化学研究所は、一滴の血液からクローンマウスを作ることに成功した。遺伝子を提供する動物(ドナー)に負担がかからず、絶滅の危機にある種の保存などへの応用が期待できる。臓器から体細胞を取ると手術が必要だが、血液なら簡単に採取できる。クローンは、核を除いた卵子にドナーの体細胞の核を移植し、ドナーと同じ遺伝情報を持った動物を作る技術。
             【朝日新聞 2013. 6.27朝刊 37面】
           【日経産業新聞 2013. 6.27朝刊 11面】
           【日本経済新聞 2013. 6.27夕刊 14面】 
            【毎日新聞 2013. 6.28朝刊 30面】“


”D−007.鳥取大学やカリフォルニア大学などの国際研究チームは、乾燥に対する植物の耐性を、天然の植物ホルモンと同じ程度に高められる人工化合物を初めて発見した。人工化合物を「キナバクチン」と命名。土壌などに混ぜて与えると、遺伝子組み換え技術に頼らず植物の乾燥耐性が高まり、乾燥地での大豆などの生産の向上が期待できる。
          【毎日新聞 2013. 6.27夕刊  8面】“


”D−009.水産総合研究センター、千葉県水産総合研究センター及び東京大学は共同で、アサリの天敵であるカイヤドリウミグモ(ウミグモ)の生態をほぼ解明した。現場調査で、発生・出現は季節、場所によって大きな偏りがあることが判明した。場所的にもウミグモの出現が少ない場所が予測できるようになった。 
        【日刊水産経済新聞 2013. 6.28朝刊  1面】“


”D−012.農業生物資源研究所は、水稲「コシヒカリ」から出穂時期を調節する遺伝子「Hd16」を特定した。「コシヒカリ」ではHd16遺伝子の働きが低下して、日長に対する反応が弱まり、穂の出る時期が早くなっていることが分かった。コシヒカリ型Hd16遺伝子を導入した新品種を育成することで、さまざまな品種の栽培時期を早めることができる。
           【日本農業新聞 2013. 7. 3朝刊 14面】 
          【日刊工業新聞 2013. 7. 3朝刊 12面】 
          【化学工業日報 2013. 7. 4朝刊  5面】 


”D−014.米国のノースウエスタン大学とハーバード大学は共同で、細胞内でさまざまなたんぱく質を組み立てる小器官「リボソーム」を試験管内で人工合成することに初めて成功した。リボソームの働きを妨げ、細菌の増殖を防ぐ抗生物質を開発するのに使えるほか、将来はバイオ燃料や医薬品の生産に使う新細菌を生み出すのに応用できると期待さける。
           【日経産業新聞 2013. 7. 2朝刊 10面】“


”D−015.自然科学研究機構基礎生物学研究所は、植物が細胞分裂する際に細胞の中央に仕切りができる仕組みを解明した。仕切りは微細な繊維で編んだ「ゆりかご」の中で成長する。繊維が1本ずつ編まれてゆりかごが大きくなるのに伴って、仕切りも伸びていた。植物が葉や実を形作る仕組みの解明や果物の品種改良に役立つ可能性がある。 
           【日経産業新聞 2013. 7. 2朝刊 10面】“


”D−018.名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所は、魚の脳にある細胞が、日照時間の変化を感知して繁殖活動を制御する「季節センサー」として働き、魚が季節を感じていることを突き止めた。魚が季節を感じる仕組みが分かれば、産卵を人工的にコントロールして食糧の生産性向上につながる可能性がある。 
       【日本経済新聞 2013. 7. 3朝刊 38面】“


”D−019.奈良先端科学技術大学院大学は、活性酸素による酸化ストレスから酵母を守る仕組みの中でカギとなるたんぱく質分子、Mpr1(アセチル化酵素)の立体構造を明らかにした。見出したMpr1の立体構造はパン、酒類などの酵母で優れた発酵力を備えた育種にも応用できる。
           【日刊工業新聞 2013. 7. 3朝刊 19面】“


”D−026.鳥取大学乾燥地研究センターとカリフォルニア大学を中心とした国際共同研究チームは、約6万の機能未知の化合物の中から植物の乾燥耐性を効果的に向上させる化合物を発見した。「キナバクチン」と名付けた化合物を投与することで、ストレス耐性が植物に付加されることを明らかにした。
           【化学工業日報 2013. 7. 5朝刊  4面】“


”D−029.九州大学は、青色の光に応答して気孔の開口に働くたんぱく質を発見した。気孔は二酸化炭素の取り込みを行う重要な器官。発見したたんぱく質の機能を利用し気孔を人工的に開かせて、光合成を促進させる新たな制御技術の開発につながりそうだ。成長性の高い植物を得ることなどに役立つ。
           【化学工業日報 2013. 7. 8朝刊  5面】“


”D−039.沖縄科学技術大学院大学は、サンゴと共生する藻類「褐虫藻(かっちゅうそう)」のゲノム(全遺伝情報)を解読した。サンゴの死滅につながる「白化現象」の原因究明やサンゴの生態解明に生かす。褐虫藻のゲノムの大きさは約15億塩基対で、約4万2千個の遺伝子を特定した。
           【日本経済新聞 2013. 7.12朝刊 38面】
           【日刊工業新聞 2013. 7.12朝刊 21面】“


”D−042.水産総合研究センター国際水産資源研究所は、クロマグロの幼魚に記録型標識を取り付ける技術を開発し、これを取り付けた幼魚4匹を回収した。これにより、自然環境下のクロマグロ幼魚の回遊経路、どんな水深、水温の場所にいたかなどを連続的に記録が可能となる。
             【常陽新聞 2013. 7.13朝刊  2面】“


”D−057.京都大学ウイルス研究所は岩手大学などと共同で、哺乳類の胎盤構造の多様性に、内在性のレトロウイルスがかかわっていることを突き止めた。近年、畜産業界で問題視されているウシの妊娠成功率低下の原因究明や治療法確立につながると期待される。 
          【日刊工業新聞 2013. 7.18朝刊 19面】“


”D−058.水産総合研究センターは東京大学、九州大学、国立遺伝学研究所と共同で、クロマグロの全遺伝情報(ゲノム)を解読した。視覚をつかさどる遺伝子を詳しく調べたところ、緑や青の光の感知に関する遺伝子がほかの魚類より多く存在していることが判明。クロマグロの生態や行動を知る手掛かりとなり、養殖技術に役立つ可能性がある。
         【日刊水産経済新聞 2013. 7.19朝刊  1面】 
            【読売新聞 2013. 7.21朝刊  2面】
           【化学工業日報 2013. 7.22朝刊  5面】“






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