MICS NEWS Vol.15 Number 3

          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”B−001.名古屋大学は、窒素の固定能力があるラン藻類シアノバクテリアから、その能力の鍵となる必須の制御たんぱく質を発見。「CnfR」と名付けた新しいたん白質で、細胞が窒素不足になると発現し、窒素固定を行う酸素ニトロゲナーゼが働けるように誘導を行っていた。産業利用として、このたん白質を生産する遺伝子を植物へ導入することで、窒素肥料がほぼなくとも収穫量の得られる「窒素固定作物」を作出できる可能性がある。 
【化学工業日報 2014.4.28朝刊 6面】“


”B−003.京都大学と山口大学は、害虫に葉を食べられてしまった植物が特定の香りを放出し、周りの植物はその香り物質を虫の成長を妨げる化合物に変えて虫から防御を図っていることを突き止めた。28日付けの米科学アカデミー紀要電子版に発表された。これまで、葉をたべられた植物の近くにある別の植物が自らを防衛しようと反応することは知られていたが、詳しい仕組みは不明であった。 
【日本経済新聞 2014.4.30朝刊 30面】 
【日本農業新聞 2014.4.30朝刊 12面】“


”B−011.東京理科大学の朽津和幸教授と賀屋秀隆教授(現:農業生物資源研究所)は、植物の花粉管の伸長メカニズムを解明。モデル植物のシロイヌナズナを用い、花粉管先端部に局在する2種類の活性酸素生成酵素がカルシウムイオンによって活性化されるのを確認。活性酸素は花粉管の伸長などに影響を与えており、作物の収量を高める技術開発につながると期待されている。 
【日刊工業新聞 2014.5.6朝刊 9面】“


”B−012.静岡大学と鳥取大学などの研究グループは、植物のストレス反応ををコントロールできる化合物の開発に成功。植物のストレスホルモンとして知られるアブシジン酸(ABA)の機能を阻害することで、環境ストレスによって作物の生産性低下が起こる現象の克服が期待できる。また、今までにない全く新しいタイプの農薬の開発につながる可能性もあるとされている。 
【化学工業日報 2014.5.8朝刊 6面】
【日本農業新聞 2014.5.8朝刊 20面】“


”B−025.東北大大学院は、ダイコンのゲノムの解読に成功。17日付の英科 学誌「DNAリサーチ」電子版に発表。青首ダイコンのDNAを採取し、塩基配列の情 報を大量に得られる機械などで解読。遺伝子は約6万個と推定。品種の異なるダ イコンのゲノムを比較する中で、辛みに関わる遺伝子や、花を早く咲かせる遺伝 子、葉っぱの毛の有無を決める遺伝子も特定。新品種開発を後押しする成果とな ることが期待されている。 
【河北新聞 2014.5.17朝刊 29面】
【東奥日報 2014.5.17朝刊 22面】
【化学工業日報 2014.5.21朝刊 5面】“


”B−026.地球温暖化の原因となる二酸化炭素の濃度上昇がイネやムギなど穀 物に含まれる亜鉛や鉄分の減少を引き起こすことを日米などの研究チームが英科 学誌ネイチャー電子版に発表。亜鉛や鉄分の摂取を穀物に依存する発展途上国で は温暖化が進めば栄養素が不足する恐れがある。研究に参加した農業環境技術研 究所は、栄養素が減るメカニズムを解明出来れば品種改良などに生かせると話す。 
【毎日新聞 2014.5.17夕刊 6面】
【毎日新聞(大阪) 2014.5.17夕刊 6面】“


”C−007.農業生物資源研究所は、緑色に光る生糸を作る遺伝子組み換えカイコの飼育実験を7月から始めると発表。遺伝子組み換えカイコは、野外に出さない対策を施した施設でしか飼われた事がないが、養蚕農家が飼っているような通常の施設で飼育実験を行う。実験が順調に進めば、数年後にも農家が遺伝子組み換えカイコを飼えるようになる見通し。           
 【日経産業新聞 2014.5.28朝刊 10面】“

”C−036.利根川を遡上するサクラマスは海まで下って成長する「降海型」なのか、それとも利根大堰下流付近にとどまって大型化する「河川残留型」なのか、長い間、釣り人の間で論争となっていたサクラマスの謎が釣り人と群馬県水産試験場の協力で解明。成長を年輪のように記録する内耳の組織「耳石」に含まれる物質を調査したところ、海水にいた事を示すデータが確認できた。同試験場は詳細な調査に乗り出す方針。 
【上毛新聞 2014.6.12朝刊 18面】“




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