MICS NEWS Vol.15 Number 5

          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”F−029.東京大学と東京農工大学は、水溶性キノン化合物の一つであるピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素として利用している酵素をキノコから発見。PQQは新たな脳改善機能成分として期待が高まっており、三菱ガス化学が微生物発酵技術を用いて工業化し、健康食品素材として展開。カビ等からも同酵素をつくる遺伝子を見つけだし、様々な生物の生体内でPQQが重要な役割を持つ可能性が示された。 
【化学工業日報 2014.9.1朝刊 7面】“


”F−031.愛媛大学と農業生物資源研究所は、一つで病気や乾燥に強くなるなどの太陽な機能を発現させる力を持った遺伝子を、水稲で見つけたと発表。「ヘムアクチベータータンパク質遺伝子」という遺伝子で、過剰に発現させると耐病性や耐塩性などを高める上、分けつ数も増す。この遺伝子を利用することで、米の生産コスト低減や乾燥地、塩害地などでの安定生産につながると期待されている。 
【日本農業新聞 2014.9.2朝刊 14面】
【化学工業日報 2014.9.3朝刊 7面】


”F−049.京都大学は、水稲の穂が真っすぐ伸びて垂れない直立穂の品種は高い収量を得られる可能性があることを確認。9日松山市で開催された、日本作物学会で報告した。移植から成熟までの期間は短かったが、試験に使用した「瀋農(しんのう)265」の10アール収量は約600キロと、「日本晴」より2割増であった。2014年産は多肥・密植にして試験栽培を行っている。
  【日本農業新聞 2014.9.10朝刊 14面】“


”F−053.名古屋大学と加モントリオール大学は、植物の受精に成功する瞬間のサインをとらえることに成功。受精の際に変化する細胞内のカルシウム(Ca)濃度を高感度顕微鏡による方法を工夫し、被子植物で初めて成果を得ることができた。農業生産上、Ca濃度変化による受粉が的確に行われたか否かを知る有用な技術の開発や、組織の奥深くで進行する被子植物に特徴的な「重複受精」の仕組み解明につながるという。 
【化学工業日報 2014.9.11朝刊 6面】
【科学新聞 2014.9.12朝刊 6面】“


”F−073.東京大学は、カイコの体表にできる紋様を決める遺伝子を発見。遺伝子1個の働きによってさまざまな紋様が作り出されていたという。カイコには約15種類の紋様があるのが知られており、複数の遺伝子が関わっていると推測されていた。他のチョウやガの幼虫も同じ仕組みを持っている可能性があり、これを応用し、チョウやガの幼虫の体表を鳥に捕食されやすい色に変えれば、害虫駆除にも使える可能性がある。 
【日経産業新聞 2014.9.25朝刊 10面】“


”F−075.中国水産科学研究院などの研究チームは、コイの全遺伝子(ゲノム)の概要を解読したと、米科学誌ネイチャー・ジェネティックス(電子版)に発表。食用や観賞用に養殖されるコイの品種改良に役立つと期待されている。コイの先祖はカスピ海に生息し、欧州やアジアに広がって進化したとの説が裏付けられた。研究チームはコイの染色体50本のDNAを解読、たんぱく質を作る遺伝子を約5万2,600万個を特定した。
  【日経産業新聞 2014.9.25朝刊 10面】“


”G−001.石川県立大大学院の宮下奈緒さんは、農作物の育成を妨げる線虫「ネコブセンチュウ」が作物の根の内部に寄生する瞬間を初めて観察。今後、より詳しい寄生の過程が判明すれば新たな防除剤の開発につながる可能性がある。成果は線虫研究で最も権威のある雑誌の一つ「ジャーナル・オブ・ネマトロジー」(米国)の9月号に掲載。
  【北国新聞 2014.9.25朝刊 38面】“


”G−002.和歌山県水産試験場は、県南部特産であるワカメの仲間ヒロメ(ヒトハメワカメ)が、田辺湾産は、うちわのように幅広く、熊野灘産は縦長に成長することを調査で判明。関係者は「ブランド化を進める時、鳴門ワカメのように細分化して売り出せる可能性がある」と注目しているという。 
【紀伊民報 2014.9.26朝刊 1面】“


”G−003.産業技術総合研究所は、自然科学研究機構生物学研究所と共同で、クヌギカメムシの特殊な卵塊ゼリーの機能を解明。同ゼリーには厳冬期に孵化する幼虫の成長に必要な栄養分と必須の共生細菌が含まれていたという。寒天のような機能性物質を作り出すことは、植物や藻類でよく知られているが、虫では初。今後、同ゼリーに含まれる可能性のある抗菌活性物質を特定し、産業上、有用か否か等の解析を行う。 
【化学工業日報 2014.9.29朝刊 4面】“


”G−011.京都大学は広島大学と共同で、電気パルスで受精卵に微小穴をあけて遺伝子を導入する遺伝子改変ラットの作製法を考案。多くの動物種の受精卵に応用可能で、短期間で遺伝子改変動物を準備できるため研究の効率化につながるという。成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載。 
【日刊工業新聞 2014.10.2朝刊 19面】“


”G−013.横浜国立大学大学院環境研究院は、植物の生体防御機能を誘導する新たな化合物を特定。害虫の食害も減少させた。新たな植物活性化剤として期待される。これまでサリチル酸系の情報伝達システムに作用する物質が植物活性化剤として実用化されていたが、同研究所が見つけたのはジャスモン酸系の情報伝達システムで働く化合物で、同系で作用する化学物質を同定したのは世界初。 
【日本農業新聞 2014.10.3朝刊 14面】“


”G−014.九州大学大学院歯学研究院は、味覚抑制物質のギムネマ酸が、主に甘味受容体サブユニットT1R3の膜貫通ドメインに作用し、甘味を抑制することを明らかに。エネルギー摂取に関与する甘味受容体の分子機能の解明に貢献するだけでなく、新たな人工甘味料、甘味増強物質や甘味抑制物質の開発に応用できると期待されている。
  【科学新聞 2014.10.3朝刊 2面】“


”G−015.基礎生物学研究所と理化学研究所は、植物ホルモンの1つ「サイトカイニン」の新たな機能を発見。マメ科植物の根粒の数の抑制に同ホルモンが働いており、ダイズをはじめとするマメ科植物では、根に根粒を作り、根粒菌を共生させて大気中の窒素を固定して栄養分に利用。従来、未解明だった葉から根へと長い距離を運ばれて情報を伝えるシグナル分子が同ホルモンであり、根粒数を抑制させることを明らかになった。
  【化学工業日報 2014.10.3朝刊 6面】“


”G−017.広島大学と筑波大学などは、チュニジアのサハラ砂漠から、これまで見つかっていない新しい微生物を発見。新綱に属する微生物の遺伝子はヒトの皮膚や植物等から見つかっていたが、生きた微生物を取出して培養に成功したのは初めてという。遺伝子を解析したところプロテオバクテリア門に属する多くの微生物とは近縁ではなく、綱のレベルで新しいと判明。オリゴフレキシア綱と命名。英国の専門誌で7日に発表。 
【日経産業新聞 2014.10.6朝刊 10面】“


”G−029.基礎生物学研究所と鹿児島大、サントリーグローバルイノベーションセンターは、黄色いアサガオを咲かせることに成功したと発表。アサガオにはもともと黄色がないが、アサガオ作りが盛んだった江戸時代の図譜に「菜の花のような黄色いアサガオ」と記録があり、「幻のアサガオ」と呼ばれていた。研究グループはクリーム色の花を咲かせるアサガオに、キンギョソウの黄色の色素を作る仕組みを導入した。
  【日本経済新聞 2014.10.11朝刊 38面】
【中日新聞 2014.10.11朝刊 3面】
【東京新聞 2014.10.11夕刊 9面】“


”G−035.理化学研究所とキリン基盤技術研究所、大阪大学などは、ジャガイモの芽のほか、光が当たって緑色になった皮の部分に多く含まれる天然毒素の合成に関与する遺伝子を発見。米科学誌プラント・セル電子版に発表。この毒素は「α―ソラニン」や「α―チャコニン」で食べると吐いたり、下痢や腹痛、頭痛を起こすことがあるが、この遺伝子が働かず、有機成分が少ない品種を開発できる可能性があるという。 
【毎日新聞 2014.10.16朝刊 15面】
【毎日新聞(大阪) 2014.10.16朝刊 18面】“


”G−037.神奈川大学は、体の細胞にたまった脂肪を減らす新しい化合物を発見。海辺にすむ細菌の一種から採取。太らない為には、脂肪を取り過ぎないようにするのが普通だが、常識を破る肥満治療薬が出来る可能性もある。沖縄県石垣市の海岸で取った細菌の一種、藍藻から未知の化合物を発見し、培養したマウスの脂肪細胞に投与すると蓄積されていた脂肪が半分に減少。また新しい脂肪ができるのを抑制する働きもあった。
  【東京新聞 2014.10.17朝刊 3面】“






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