MICS NEWS Vol.15 Number 6

          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             



”G−042.農業生物資源研究所は、東京農工大学、名古屋大学、富山農林水産総合技術センターと共同で、大型台風に耐えられる「最強のイネ」リーフスターの、「謎を解明」したと発表。リーフスターは東京農工大と農研機構が共同育成するイネで、中国117号とコシヒカリをを配合した飼料用品種で、低リグニンで強稈性をもつ。生物研らは、リーフスターのリグニン合成酵素の遺伝変異と低リグニン性との関係と特有の新形質を解明。 
【食品産業新聞 2014.10.20朝刊 8面】
【科学新聞 2014.10.24朝刊 1面】“


”G−043.筑波大学、東京大学、農業生物資源研究所は、細胞内コレステロールの挙動の調整に不可欠な新規のキー遺伝子「noppera-bo」を発見。この遺伝子の機能が失われると、昆虫の発育の進行などに重要な働きを示すステロイドホルモンの生合成に異常が生じることが判明。同遺伝子やこれが産生するたん白質は、発育を抑制する新たな作用機序による農薬開発戦略のための分子ターゲットになることが見込まれるという。 
【化学工業日報 2014.10.20朝刊 7面】“


”G−044.名古屋大学は、植物の遺伝子分析を進めた結果、一部の根の周辺の土壌に成長に必要な窒素養分が足りない場合、根が感知してホルモンを出し、ほかの根に窒素吸収の補填を求める仕組みがあることが分かり、19日までに米科学誌サイエンスで発表を行った。チームによると、根からホルモンを受け取った葉を経由し、固体内に欠乏のシグナルが送られるとみられ、実際にほかの根で吸収が増えることも確認したという。 
【日本経済新聞 2014.10.20朝刊 34面】
【化学工業日報 2014.10.22朝刊 6面】“


”G−053.京都大学は、植物とキノコやカビなどの真菌類が根で共生する構造を解明。特定の植物種としか共生しないものや、解析した植物種の大半と共生する真菌種があった。今後、真菌種の役割を評価する技術を開発し、生物種同士の複雑なネットワーク構造を調べる手がかりにする狙いという。 
【日刊工業新聞 2014.10.24朝刊 19面】“


”H−007.理化学研究所と農業生物資源研究所は、日本で栽培されているイネ175品種の代謝物すべてを、ゲノムワイド関連解析することに成功。代謝物の網羅的解析技術であるメタボローム手法を用いて91種類の代謝物の構造を解明、また遺伝子多型データと組合せ、ゲノムワイド関連解析を行い、品種間の差に関係する143カ所の遺伝子多型を検出した。GM技術を使わず健康機能成分を含む品種の開発が出来る可能性がある。
  【化学工業日報 2014.10.29朝刊 7面】


”H−008.農業生物資源研究所などの研究グループは、水稲の重要害虫トビイロウンカの吸汁を妨げる働きをする遺伝子を特定したと発表。インドで栽培されている水稲品種から見つけた遺伝子で、栽培品種から発見したのは初。この遺伝子の位置がわかる目印(マーカー遺伝子)も発見したことで、抵抗性品種の開発が短期的にできると見込んでいる。 
【日本農業新聞 2014.10.30朝刊 16面】
【化学工業日報 2014.10.30朝刊 7面】
【日経産業新聞 2014.10.30朝刊 14面】


”H−009.京都大学は、米カリフォルニア大学デービス校などと共同で、植物の雄雌を決定する因子をカキで特定した。性別決定は、哺乳類と同様にXY型性染色体で制御される。果実は花が咲くまで長期間必要だが、早い段階で雌雄を判別できるため、雄花が咲かない品種からも花粉を作りだしたり、果実なる雌花を安定して作れるなど農業への応用が期待されている。成果は31日、米科学誌サイエンス電子版に掲載。 
【日刊工業新聞 2014.10.31朝刊 23面】“


”H−010.(独)水産総合研究センターの東北区水産研究所は、東日本大震災で流出した養殖ギンザケが、在来サクラマスに及ぼす影響を探る調査の結果を発表。今回の調査で2種の交雑固体は見つからず、遺伝資源に与えた影響はほぼないとみられている。5月〜9月に宮古市魚市場に水揚げされるサケ・マス累計2千匹の形態を毎日観察し、調査を実施した。
  【岩手日報 2014.10.30朝刊 6面】“


”H−012.生物研が開発した遺伝子組み換えカイコ。従来の絹糸に代わる新たな需要を創出する研究が本格化。「光るドレス」や医療材料など幅広い分野で応用が期待されており、大量飼育を目指す実験も始動。GMカイコの絹糸から取り出したタンパク質は医療、美容、音楽機器にも利用され、成虫は、生きたまま様々なものに利用する研究も進められている。GM技術により衰退の一途をたどった養蚕業が再興する可能性がある。
  【産経新聞 2014.11.3朝刊 12面】
【産経新聞(大阪) 2014.11.4夕刊 4面】“


”H−016.東京大学は九州大学と協力し、昆虫の「ハネカクシ」が羽を小さく折り畳む仕組みを解明。特殊なカメラを使い観察すると、通常の昆虫と異なり、左右の羽を重ねた後に2枚同時に折り畳んでいることがわかった。一瞬で開いたり閉じたりでき、「人工衛星に積む太陽電池パネルなどの展開構造や傘などに応用できる」と東京大学の斉藤助教授は期待しており、今後、羽の材質なども詳しく調査する。 
【日経産業新聞 2014.11.5朝刊 10面】“


”H−023.理化学研究所と東京大の研究チームは、特殊な試薬を使い全身が透明なマウスの標本を作ることに成功したと、米科学誌セルに発表。臓器の細胞を詳しく観察でき、病気の原因解明などに役立つと期待。臓器の色の元となる赤血球が化学物質の一種アミノアルコールによって脱色されるを発見し、死後に皮膚を取り除いたマウスを、この物質の溶液に約2週間漬けるなどして、筋肉や臓器を透明にすることに成功したという。 
【読売新聞 2014.11.7朝刊 38面】
【東京新聞 2014.11.7朝刊 2面】
【日本経済新聞 2014.11.7朝刊 38面】
【日経産業新聞 2014.11.7朝刊 10面】
【日刊工業新聞 2014.11.7朝刊 19面】
【朝日新聞 2014.11.7朝刊 14面】
【化学工業日報 2014.11.10朝刊 6面】“


”H−024.筑波大などの国際研究チームは、地球上の生物種の半数以上を占める昆虫の厳密な系統樹を作ったと発表。昆虫のゲノムと化石を使って進化年代を推定、これまで約4億年前とされていた昆虫の起源は約4億8千万年前に遡ることが判明。羽で飛ぶことができる有翅昆虫類の起源も、3億5千万年前と考えられていたが、約4億年前に飛行能力を獲得していたと推定。研究成果は米科学誌「サイエンス」に掲載。 
【日本経済新聞 2014.11.8朝刊 428面】
【読売新聞 2014.11.8朝刊 38面】
【信濃毎日新聞 2014.11.8朝刊 33面】“


”H−025.理化学研究所バイオリソースセンターは、約30億塩基対ある全遺伝子情報(ゲノム)のわずか1文字(1塩基対)の違いで不妊が起きることをマウスの実験で確認したと発表。オス、メスともに生殖器の一部が正常に作られず、不妊になっていた。同じ原因でヒトの不妊が起きている可能性もあるという。英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載。
  【毎日新聞 2014.11.9朝刊 30面】
【日本経済新聞 2014.11.9朝刊 34面】“


”H−032.動物衛生研究所は、今年4月に熊本県の養鶏場から、国内で初めて検出された高病原性の鳥インフルエンザウイルス「H5N8型」は、中東部が起源とみられるとの調査結果を日本ウイルス学会で発表。鶏から取ったウイルスの遺伝子を分析した結果、2010年と11年に中国東部で報告された2種類のウイルスが混じって誕生した可能性が高いこと突き止めたという。日本には渡り鳥のカモ類が運んできた可能性が高い。 
【読売新聞 2014.11.12朝刊 37面】
【読売新聞(大阪) 2014.11.12朝刊 37面】“


”H−034.近畿大学は、水稲の白葉枯病の原因になる菌が増える仕組みを、世界で初めて解明。水稲の免疫反応を機能させないタンパク質を、菌が植物体内に分泌して増殖する仕組みで、これが明らかになったことで、他の細菌病にも応用できると期待されている。白葉枯病は水で伝染する病気で、梅雨時期の大雨などで水稲が冠水すると発病しやすく、日本での発生は減少したがアジア各国でまだ多発しており問題となっている。
  【日本農業新聞 2014.11.13朝刊 18面】
【日刊工業新聞 2014.11.13朝刊 21面】
【読売新聞(大阪) 2014.11.13夕刊 10面】“


”H−042.東山動物園は、ごく近い将来に野生で絶滅の危険が極めて高いとされ、国の天然記念物に指定されている日本固有の淡水魚「イタセンパラ」の繁殖に成功。同園では初めてで、全国的にも珍しい。繁殖成功を受け、北園にある世界のメダカ館で16日までイタセンパラを初公開しているという。
  【中日新聞 2014.11.14朝刊 20面】“


”H−044.京都大学は、雄と交尾して働きアリや羽アリを有無白アリの女王が、後継者となる女王を産む時だけ、雄を必要としない「単為生殖」を行える仕組みの一端を解明。17日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表。雄が寄ってきても受精できないように、精子が進入する卵表面が閉じられていたという。アブラムシやハエの仲間など単為生殖できる昆虫は多く、こうした繁殖法が生まれた理由を明らかにする手がかりとなる。 
【東京新聞 2014.11.18朝刊 2面】“


”H−053.東京大学は、食物アレルギー性の制御メカニズムを解明。モデルマウスを用いてアレルゲンとなる物質を摂食させ炎症を誘導し調査。その結果、腸管膜リンパ節という免疫組織が必須の役割を果たしていることが判明。急激に発症して重篤な状況に陥る場合もある全身性のアナフィラキシー反応では、腸管を経由する感作経路以外の感作経路が重要な働きをすることが示されたという。
  【化学工業日報 2014.11.20朝刊 7面】“






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