MICS NEWS Vol.15 Number 7

          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”I−008.農研機構果樹研究所は、日本梨のハウス栽培で加温時期を決める判定技術を開発。加温したい時期に枝を採取し、遠心分離器で樹液を採取し糖度を調査。糖度が1以上あれば休眠から覚醒しており、加温すれば発芽し開花することを明かした。近年、温暖化の影響で覚醒時期が遅れる傾向にあり、施設栽培では覚醒前に加温してしまい発芽・開花できない現象が起きているという。
  【日本農業新聞 2014.11.26朝刊 16面】“


”I−009.名古屋大学と信州大学の共同研究グループは、大型モロコシの1代交配種の品種「天高」の雑種強勢の仕組みを発見。同研究グループが解析を試み、同品種にある6つの遺伝子の位置(遺伝子座)とその組み合わせが重要であることを明かした。雑種強勢による遺伝様式の不明な植物の遺伝子座を指標に他のF1品種品種の改良に大きな変化をもたらす他、自由な育種設計に役立つ情報基盤の1つができたことになる。 
【化学工業日報 2014.11.26朝刊 17面】“


”I−010.岡山大学と理化学研究所は、光合成反応の中で水を分解する機構の一端を解明。X線自由電子レーザー施設「SACLA」で構造を解析した。光合成生物がたんぱく質で、水を分解し酸素や電子を発生させる「光化学系U(PSU)」の構造を0.195ナノメートルの解像度で明らかに。太陽光エネルギーを高効率で電気に変える人工光合成の研究の進展が期待できるという。
  【日刊工業新聞 2014.11.27朝刊 26面】
【日経産業新聞 2014.11.27朝刊 10面】
【東京新聞 2014.11.27朝刊 3面】“


”I−014.京都大学は、様々なたんぱく質が柔軟に変形し、細胞核の内部へ入っていく仕組みを解明。柔らかいたんぱく質を人工的に作り薬や遺伝子を包めば、効率よく核の内部に送り届けられ、病気の治療や遺伝子の導入に役立つみている。米科学誌「ストラクチャー」に報告。 
【日経産業新聞 2014.11.28朝刊 17面】“


”I−018.静岡県水産技術研究所は、河川に生息するニホンウナギが越冬するために砂利の中に潜っている可能性が高いことを秋津市で行われた本年度の研究発表会で報告。ウナギの資源保護に向けた河川環境改善のヒントになると期待が高まる。伊東市の宇佐美湾にそそぐ3河川で2千匹以上のウナギを捕獲し、個体識別が可能なICタグを付けて放流し、毎月1回の頻度で再び捕獲し成長度合い等を調査した。 
【静岡新聞 2014.11.29朝刊 29面】“


”I−019.農研機構、農業生物資源研究所などの4研究機関は共同で、ダイズのマメの落下による収穫ロスを抑える遺伝子「pdh1」を突き止めることに成功。「脱粒」と呼ばれるこの落下現象は莢(さや)がはじけやすくなり、最大30%もの大きな損失の要因となっているという。同遺伝子とそのDNAマーカーを利用したDNAマーカー育種による新しい品種の開発を進め、機械での収穫対応も可能な品種の早期育成を目指している。 
【化学工業日報 2014.12.2朝刊 4面】


”I−022.大阪大学と京都大学は、明るく光るコケを開発。体内で発光するたんぱく質などを作るように遺伝子を組み換えた。満月や野生の光るキノコと同じくらい明るく光るという。ゼニゴケの遺伝子を組み換え、基質を分解する酵素と蛍光たんぱく質を作るようにし、液体の基質を振りかけると0.29ルクスの明るさで緑に光った。植物を光らせる従来の研究と比較すると約10倍明るい。 
【日本経済新聞 2014.12.2朝刊 16面】“


”I−031.農研機構花き研究所、NECソリューションイノベータ、奈良先端科学技術大学院大学は共同で開発した「光る花」の論文を公開。この光る花は、国立科学博物館で開催中の特別展「ヒカリ展」で公開。論文は学術誌「PlantBiote chnology」オンライン版(JISTAGE)で公開。 
【科学新聞 2014.12.5朝刊 6面】


”I−032.愛媛大学と北海道大学は、観賞魚のゼブラフィッシュで、生殖細胞の数によりオスかメスかが決まる仕組みを発見。受精卵の中の生殖細胞が10個に満たないと、オスになりやすい。今後、別の種類の魚でも同じ仕組みがあるかを調査。受精卵に薬剤を注入し、生殖細胞をなくしたところ、全てオスになり、その後他の固体から取り出した生殖細胞を受精卵に移植。移植する数をふやしたところ徐々にメスに育つ割合が増えた。
【日経産業新聞 2014.12.8朝刊 10面】“


”I−043.農研機構中央農業総合研究センターは、キサントモナス属細菌病害に効果を示す微生物農薬を開発。植物から分離した非病原性のキサントモナス属細菌を有効成分とするもので、試作した液体製剤を施用したところ、野菜の黒腐病などに効果を示すことを確認。今後は製品化のため、製剤の保存安定性を向上させるための検討を進める他、低濃度で効果を発揮できるようにするための処理方法を検討する。 
【化学工業日報 2014.12.10朝刊 6面】“


”I−044.農業生物資源研究所と産業技術総合研究所は共同で、昆虫に共生する菌の新しい伝播様式を発見。イネの主要害虫の1つツマグロヨコバイの精子核の中に共生リケッチアと呼ばれる細菌が潜り込み、子へと伝播していた。精子はサイズが小さく、共生微生物がこれを介して子へで伝播することはないと考えられていた。共生細菌の生殖操作に関わる機能を追求し、バイオ製剤等による害虫制御や防除技術の開発につなげる。 
【化学工業日報 2014.12.10朝刊 6面】“


”I−047.東北大学は、青色光に殺虫効果があることを発見。紫外線には生物への毒性があることは知られていたが、紫外線より長い波長の青色光(可視光)にも昆虫のような動物に対して致死効果があることが明らかになった。また昆虫の種類により紫外線よりも殺虫効果が高い事等も判明。今後、衛生害虫、農業害虫、貯穀害虫、畜産害虫などの防除への応用の他、可視光の生体への影響解明にもつながると期待されている。 
【化学工業日報 2014.12.11朝刊 6面】“


”I−052.理化学研究所を含む世界20カ国から成る国際共同チームは、世界の代表的な鳥のゲノムを解読した結果、鳥は今から5,000万年以上前に爆発的に種類を増やしたなどとする研究成果を国際共同チームがまとめた。鳥45種類のゲノムを4年がかりで解読し、過去にゲノムが解読された鶏など3種と合わせ、鳥が進化した系統や、種が分かれた時期などを推定したという。関連する論文8本が米科学誌サイエンスに掲載される。 
【読売新聞 2014.12.12朝刊 37面】
【読売新聞(大阪) 2014.12.12朝刊 35面】“


”I−061.岐阜大学と京都大学の研究グループは、関節リュウマチや敗血症性ショック、アレルギーといった免疫異常の病気の引き金となる物質「インターロイキン18(IL-18)連合体」の立体構造を原子レベルで解明。世界初の成果で、こうした病気の新薬開発に向け、前進が期待できる。論文は、15日付の英国科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載。
  【岐阜新聞 2014.12.16朝刊 30面】
【日刊工業新聞 2014.12.17朝刊 23面】
【化学工業日報 2014.12.18朝刊 6面】“


”I−062.筑波大学は、昆虫が蛹になるうえで、必須のホルモンの生合成を制御する新たなメカニズムを発見。神経伝達物質セロトニンがこれを生産する神経細胞を介して栄養量に応じてホルモンの生合成器官に作用し、幼虫が蛹になるタイミングの調節を果たしていた。同神経細胞は複雑なため、検出が難しかったが、今回の研究により存在と発育制御機能が明らかになり、分子標的による新たな農薬開発等への基盤情報になる。 
【化学工業日報 2014.12.18朝刊 6面】“


”I−067.沖縄科学技術大学と東邦大学らの研究チームは、「脊椎動物」の分類学上の階級は「亜門」ではなく上位の「門」がふさわしいとする研究をまとめ、英国王位協会紀要に論文を発表。研究チームは、20年程の間に蓄積された分子系統学やゲノム解読の研究成果をもとに描き直された「分子系統樹」に沿い分類体系を再検討し、脊椎動物は背骨を持ち、尾索動物はセルロースを合成できるといった特徴も根拠に結論付けた。
  【朝日新聞 2014.12.18朝刊 19面】“


”I−072.名古屋大学は、イネの種子を大きくする遺伝子を発見。この遺伝子を取り入れると、種子が15%大きくなり、コメの増産につながる可能性があるという。コメ粒が短いジャポニカ米「日本晴」と細長いインディカ米「カサラス」の遺伝子を比較。12本の染色体のうち、第6染色体に米の大きさを制御する遺伝子「GW6a」を発見し、この働きが、カサラスが日本晴れより強いことを突き止めた。米科学誌アカデミー紀要電子版に掲載。
  【朝日新聞(大阪) 2014.12.23朝刊 38面】
【東京新聞 2014.12.23朝刊 3面】
【日本農業新聞 2014.12.23朝刊 1面】
【伊勢新聞 2014.12.23朝刊 14面】
【岩手日報 2014.12.23朝刊 7面】
【日本経済新聞 2014.12.24夕刊 14面】“


”I−077.自然科学研究機構基礎生物学研究所は、広島大学などと共同で、ミジンコを対象に、人工制限酵素(ヌクレアーゼ)を利用したゲノム編集技術による遺伝子破壊法の確立に成功。ミジンコはゲノムが解読され、しかも環境の変化に応じ、雌雄を見分けられる等特殊な能力を持ち、遺伝子改変が実現したことで、遺伝子の多彩な切り替えの分子メカニズム解明のためのモデル実験生物として利用できる可能性が示されたという。 
【化学工業日報 2014.12.24朝刊 7面】“


”I−079.東京大学は、昆虫の脳がフェロモンのにおい情報を処理する経路を特定。脳内に入ったにおい情報が行動を起こす情報に変化されるまでの過程を明かした。昆虫の高いにおい探索能力に関する脳なメカニズムの再現につながる成果で、将来は麻薬などのにおい源の探索を行う人工知能の開発への応用が期待されている。 
【日刊工業新聞 2014.12.25朝刊 19面】“







もどる


(c)Copyright 2000 by Food Microscience Network
All rights reserved