MICS NEWS Vol.15 Number 8

          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”K−048.京都大学と蘭ユトレヒト大学は共同で、植物の葉がうすくても丈夫な仕組みを突き止めた。内側の柔らかい「葉肉」と呼ぶ組織を硬い表皮がサンドイッチのように挟んだ構造で、飛行機の翼などと似た仕組みで強度を維持していたという。性能が高い航空機や耐震性に優れた建物に、葉の構造をまねれば、丈夫さを保持した薄く軽量なものの開発につながるとみている。
  【日本経済新聞 2015.2.17朝刊 15面】
【化学工業日報 2015.2.19朝刊 4面】“


”K−050.ハーバード大学などの研究チームは、ミツバチへの害が指摘されるネオニコチノイド系農薬をミツバチに与えると、冬場から春先にかけて群れの中のハチの数が急減し、実際に観察されるミツバチの群れの消滅、「蜂群崩壊症候群(CCD)」によく似た現象が起こることを実験で突き止めた。与えた量は致死量よりはるかに低く、実際の農場で確認されるレベルと指摘。CCDの原因がこの農薬である可能性が高いとしている。 
【日本経済新聞 2015.2.17朝刊 42面】
【茨城新聞 2015.2.17朝刊 21面】“


”K−053.東京工業大学と東北大学、理化学研究所は共同で、イネやコムギなど高等植物の雄しべの発達を制御する植物ホルモンの輸送に、たん白質「GTR1」が関係していることを発見。同たん白質は、植物ホルモンの「ジベレリン」と「ジャスモン酸」の両方を運べる輸送体で、植物が作りだす病害虫防除物質の輸送体と同じことも判明。詳細が知られていない雄しべの発達制御機構を分子レベルで明らかにすることが可能となった。 
【化学工業日報 2015.2.19朝刊 4面】“


”K−054.森林総合研究所や高知大学の研究グループは、熱帯雨林の高い樹木ほど葉の光合成能力が増加することを発見。また大きな樹木ほど炭素固定能も高いことも判明。熱帯雨林の光合成能力の正確な推定は困難だったが、この研究成果は統一的な解明に大きく役立つものとなる。同成果を発展させることで、熱帯における炭素固定能の推定精度の向上や生産多様性の推持対策に役立つとみられている。 
【化学工業日報 2015.2.19朝刊 4面】
【茨城新聞 2015.2.22朝刊 14面】“


”K−058.かずさDNA研究所は、作物の品種改良法の効率的な選択技術の開発に向け、トマトを用いて変異導入方法の違いにより、突然変異の数や種類に違いが出ることを発見。これにより病害耐性や害虫抵抗性、機能性成分含有量などの農業上有用な形質を持つ品種が、どの程度の確立で付与できるのかを予測することが可能になり、また目的としない変異を正確に除去する為の手法にも道が開ける。 
【化学工業日報 2015.2.20朝刊 6面】“


”L−009.神戸大学大学院は、イネを使用した実験で、でんぷん合成に必要な複数の遺伝子を制御するマスター遺伝子の存在を突き止めた。植物のでんぷん合成を制御する遺伝子を特定するのは世界初。遺伝子組み換えや品種改良に生かすことにより、作物の生産性を高める効果などが期待できるという。成果は米科学誌プラント・フィジオロジー電子版に掲載。 
【日刊工業新聞 2015.2.26朝刊 21面】
【日本農業新聞 2015.2.27朝刊 20面】“


”L−010.農研機構花き研究所と日本原子力研究開発機構は花や果実の爽やかな青色アントシアニン色素を作りだす酵素「Ct3GT-A」の仕組みを解明。同酵素は色素原料アントシアニジンに作用して青色色素を作るが、結合した複合体の立体構造解明にも成功した。複合体情報を生かし、花色を変える機能性酵素を開発すれば付加価値ある花の新品種育成に役立つ可能性があるという。 
【化学工業日報 2015.2.27朝刊 6面】“


”L−011.岐阜県水産研究所は、長良川を遡上する稚鮎は時期が早いほど大きいことが調査で判明。友釣り解禁日までの成長時間も長くなるため、漁獲量の増大につながる。研究所漁業資源としての鮎を効率的に増殖させるため、仔鮎の降下時期も調査した。近年、降下が遅れている可能性があり「データを蓄積した上で、早い時期の遡上鮎を増やすため、産卵場の保護期間延長も検討していく必要がある。 
【岐阜新聞 2015.2.25朝刊 26面】“


”L−021.山梨大学医学部などは、ゲノム(全遺伝情報)の狙った場所に遺伝子を効率的に組み込むことができる新しいゲノム編集技術を開発。ゼブラフィッシュという小魚のゲノムを改変し、緑色に光らせる実験に成功した。従来より簡単で精度が高く、がん遺伝子を持つ魚を作って効果的な治療法や新薬を研究したり、病気に強く味の良い農作物を開発したり応用できる。英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載。 
【山梨日日新聞 2015.3.7朝刊 29面】
【日刊工業新聞 2015.3.9朝刊 15面】
【化学工業日報 2015.3.12朝刊 6面】“


”L−023.東京大学などは、殺菌力が農薬の10倍ある物質を植物の中で発見。農作物に感染する病原体に効果があることを確認。植物由来の成分を使う農薬として3〜5年後の実用化を目指すという。成果は米国化学アカデミー紀要に発表。稲わらや樹皮、木端などを分解すると出てくる9種類の天然物質を調査。「ポアシン酸」という抗生物質がカビや酵母などの真菌の細胞壁の合成を妨げ、真菌の生育を抑制することを明らかにした。 
【日経産業新聞 2015.3.10朝刊 8面】
【日刊工業新聞 2015.3.10朝刊 25面】“


”L−025.東京大学などは、「シロオビアゲハ」が毒チョウ「ベニモンアゲハ」の姿や動きをまねる「擬態」に関係する3つの遺伝子を発見。ゲノム(全遺伝情報)を解読し特定した。擬態するよう遺伝子を操作したシロオビアゲハを耕作地に放せば、鳥が近づいてこなくなるため作物の食害を防ぐことができるのではないかとみている。研究成果は、米科学誌ネイチャージェネティクス(電子版)に10日発表。 
【日経産業新聞 2015.3.10朝刊 8面】
【日本経済新聞 2015.3.10朝刊 14面】
【読売新聞 2015.3.10夕刊 12面】
【朝日新聞 2015.3.13朝刊 6面】
【朝日新聞(大阪) 2015.3.13朝刊 6面】“





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