MICS NEWS Vol.16 Number 1

          5.生体機能 … 機能の発見、製品開発 etc.
             

”L−037.水産庁は、台湾東方沖合海域で実施した未利用資源・トビイカの資源調査結果を発表。若齢を主体に同海域にトビイカが広く分布していることを確認した。「北太平洋で若齢のアカイカを調査した場合より資源は10倍近く多かった」といい、トビイカに潜在力があることが判明した。
  【日刊水産経済新聞 2015.3.16朝刊 1面】“


”L−040.産業技術総合研究所は、トンボが持つ色を識別する遺伝子は他の動物に比べて多い事が分かったと発表。多くの動物は3〜5種類なのに対し、トンボは15〜33種類もあったという。トンボは聴覚や嗅覚が退化したため、視覚への依存度が高く、そのため色の識別能力を進化させたとみられる。研究成果は2月、米科学誌に掲載された。 
【読売新聞 2015.3.18朝刊 32面】“


”L−045.産業技術総合研究所は、大豆の需要害虫のホソヘリカメムシが薬剤抵抗性を身に付けるとき、カメムシとカメムシの腸内にすむ細菌と協力し、農薬をお互いにとって無害にしている可能性が高いことを明かした。カメムシに有害な農薬成分を細菌が分解。分解してできる細菌に有害な物質をカメムシが無害化する役割分担で、共生関係を維持しているとみられる。今後、薬剤抵抗性を防ぐ技術開発につながる可能性がある。 
【日本農業新聞 2015.3.20朝刊 16面】“


”A−003.かずさDNA研究所は、農研機構九州沖縄農業研究センターと共同で、サツマイモの近縁野生種「Ipomoea trifida」のゲノムを解読。サツマイモはゲノムを構成する構造が複雑で6倍体(人や動物は2倍体)のため、解析が難しく、今回の成果をもとに解読に向けた基盤情報が提供されることになるという。多くのIpomoea trifidaは、サツマイモのように根は肥大しないが、この解析を通じてイモの肥大に関する遺伝子が見つかる可能性がある。 
【化学工業日報 2015.3.30朝刊 7面】“


”A−004.京都大学は、微生物が取り込んだDNAやRNA(リボ核酸)などの核酸を代謝する新しい仕組みを見つけたと発表。鹿児島県の海中温泉にすむ原始的な細菌を分析し判明した。植物などの光合成の原型の一部になった可能性がある。研究成果は英科学誌の電子版に掲載。 
【日経産業新聞 2015.3.31朝刊 8面】“


”A−012.国立科学博物館筑波実験植物園は、植物の新種の誕生には花の香りが重要な役割を果たしていると発表。香りの成分に変化が生じると、昆虫などの花粉を媒介する生物の種類も変わり、同じ植物でも異なる種の間では交配しない状態(生殖隔離)が起きるためという。今回の研究で一般的な植物の花でも、同様の種の分化が起きる可能性があると判明。筑波実験植物園では今後、遺伝子レベルでの解明を進める予定。 
【産経新聞 2015.4.1朝刊 25面】“


”A−015.理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターは、遺伝暗号に手を加え改変した大腸菌を作り、多様な種類のアミノ酸をたん白質に導入することに成功。従来は難しかった新たなアミノ酸を導入した高機能のたんぱく質を量産でき、がんに有効な医薬品の開発などにつながることが期待されている。大腸菌内の塩基配列を読み取る因子「RF-1」を除去し、アミノ酸の塩基配列がもつ役割(遺伝暗号)を変化させたという。
  【日刊工業新聞 2015.4.2朝刊 19面】“


”A−040.東京工業大学は東京大学、国立遺伝学研究所と共同で、植物の光合成に関わる葉緑体の分裂に関与する脂質を特定。この脂質を人為的に減らすと葉緑体の数が増えるとみられている。研究成果は米植物専門紙に掲載。特定したのは、「ホスファチジルイノシトール4-リン酸」という脂質で、根にある根毛という組織の伸長などに関わることも知られており、葉緑体にも存在するがどのような機能を担っているかは不明であった。
  【日経産業新聞 2015.4.16朝刊 10面】“


”A−042.水産総合研究センターなどの研究チームは、ニホンウナギが太陽や月の光を感知して、夜は深海でも比較的浅い場所を泳ぎ、昼は比較的深い場所に移動していることを明らかにした。これらの行動パターンから泳ぐ場所が推定できるため、これまで謎だった産卵場への回遊ルートの解明につながる。15日付の米科学誌プロスワンに掲載。
  【毎日新聞 2015.4.16朝刊 24面】
【毎日新聞(大阪) 2015.4.16朝刊 27面】“


”A−043.東北大学は、日本にいるミジンコはどれも北米出身の4匹のメスから増えた「外来種」であるとの解析結果を論部にまとめた。オスと交尾せず、メスだけで子を産む「単為生殖」により、同じ遺伝子型を持つクローンばかりが増えたらしい。全国の池など300カ所以上を調査し、このうち35カ所で採集できた200匹のDNAを解析。遺伝子型は4種類だけで、どれも北米にいる種の雑種だったという。
  【朝日新聞 2015.4.16朝刊 18面】“


”A−047.農研機構果樹研究所は、リンゴの熟期の早い性質や果汁が茶色く変色しにくい性質など重要な4つの遺伝形質を制御する染色体領域を見つけることに成功。また、それぞれの領域の組合せを見定める指標のDNAマーカーを開発。得られた染色体情報と合わせて今後これらを活用し、幼苗段階から優劣に関わる形質を予測・選抜できる品種改良技術の開発に結びつけるという。 
【化学工業日報 2015.4.17朝刊 4面】
【読売新聞 2015.4.20朝刊 33面】
【日本農業新聞 2015.4.23朝刊 16面】


”A−051.大阪大学は、遺伝子組み換え技術などを使い、葉などが自ら光る植物の開発に乗り出した。発光ダイオード(LED)ならぬ発光植物(LEP)、植物内で2つの物質が結合して発光する仕組みを利用。2030年くらいまでに観賞用の発光樹木や地雷除去の草などの実現を目指すという。
【日経産業新聞 2015.4.20朝刊 11面】“


”A−057.名古屋大学は、花粉が効率よく受精する仕組みを発見。花粉の精細胞を種子のもとになる組織に誘導する「助細胞」が役目を終えると、別の細胞と融合して細胞死を起こし、余分な受精を起こさないようにしているという。この仕組みを制御すれば、少ない花粉で確実に種子を実らせる技術につながる。成果は24日、米科学誌セル(電子版)で発表。 
【日経産業新聞 2015.4.24朝刊 10面】“


”A−061.日本原子力研究開発機構と東京農業大学の共同チームは、植物のヨシが海水に混ざった河口付近でも育つしくみを解明したと発表。同じイネ科のイネが塩分濃度が高いとナトリウムを葉まで吸い上げて細胞を傷めてしまうのに対して、ヨシは根と茎の境でナトリウムの上昇をとどめ、最終的に根の先端から吐き出していた。海岸沿いでも育つイネの開発などにつながる。 
【日本経済新聞 2015.4.24朝刊 42面】






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